こんにちは。以前に執筆した記事に「親の職業は子どもの仕事観に影響を与えるのか?」というものがあります。そこで、周囲にインタビューをしていると、かなり前向きにサラリーマンをやっている友人がいました。彼は、自然に組織へ馴染み、使命感をもって働いていました。
私と彼は、同じ学校の同じ部活で一緒に青春時代を過ごしました。なのに今では、全く違う業界に身を置き、異なる価値観をもっています。そこで、私と同じように転職回数が多いライターであるワタナベ氏を混じえ、会社員適合者の秘訣を探るべく、スーパー会社員適合者である林くんに話を聞いてみました!
登場人物

前回の記事で高い会社員適合度を見せてくれた人。新卒で入社したメーカーに勤めて7年目。6年ほどいた営業部から異動をして、現在は総務部で働いている。

さいきん3回目の転職が決まったばかり。詳細はこちら。

転職を2回経験済み。新卒採用に携わりながら、自分の「キャリア」や「生き方」について、つい考えてしまう。
もくじ
自分を必要としてくれるから今の会社にいる
かおる:今日はありがとう!さっそくだけど、林くんはなんで今の会社に入ったの?
林:よろしく〜。自分は出世したいとか、お金がめちゃくちゃ欲しいという思いはあんまりなくて、「人の役にたちたい」「人のために尽くしたい」という思いで働いているんだよね。
お金を稼ぎたければ、フルコミッションの会社に行けばいいし、出世したければ、年功序列の会社に行けば安定だろうし。そうではなく今の中小企業の会社に身を置いている理由は、自分を成長させてくれる上に自分を必要としてくれるから。こんな会社で働く方が、働きがいがあると思っているよ。
ワタナベ:その辺のマインドは私たちもあんまり変わらないかも。
かおる:林くんっていつの入社だっけ?
林:2014年入社だよ。
かおる:じゃあ、わりと求人倍率低かった頃だよね。就活は大変だった?
林:それが、正直かなり上手くいったんだよね。「人と関わる仕事」という広い軸で、業界を絞らずに就活していたから、10社くらい内定もらった。
かおる・ワタナベ:まじで?!
林:うん。80社くらい受けて10社くらい内定もらった。活動は9月頃までやってたかな。
ワタナベ:その中で選んだ1社にずっといるんだね。何が決め手で今の会社を選んだの?
林:うーん、社員が一番生き生きしているように見えたんだよね。何か明確な軸があったわけではないんだけど、どうせ働くなら自分の強みを生かした方がいいと思っていて。人と喋ることが好きだったから、営業や接客が向いているのかなと当時は思っていた。
実際に営業をやってみたら、途中から向いていないことに気づいて今の総務の部署にいるんだけどね。

営業に向いていないことに気づいた
ワタナベ:どうして向いていないと思ったの?
林:突き詰めると、営業ってお節介な部分があると思うんだよね。飛び込みもテレアポもお客さんのためというマインドでやるんだけど、行き過ぎるとお節介になってしまう。本当にお客さんのことを思うと、今はテレアポをしない方がいいんじゃないか?と、思うようになってしまった。
でも、これって営業としてはすごく弱いことで・・・。さらに、考え抜いて「お客さんのために我が社でこんな解決ができるよ」と言えるのが強い営業だと思う。
自分はそれが途中からできなくなって、今のポジションにいるんだよね。けど、営業を知っているからこそ、今の営業をフォローするポジションの仕事ができるとも思っているから、やっていてよかったと思うよ。
かおる:私も営業していたから、その気持ちわかるな〜。
ワタナベ:わかるな。数字とか成績のことより、本当にこの仕事要る?っていうのが気になっちゃう瞬間あるよね。
かおる:林くんが営業成績で表彰されてたのって、何年目のときだっけ?
林:2年目くらいかな。
ワタナベ:そのときは楽しそうだったよね。
どの商品を扱っている会社なのか?ではなく、会社でどんな役割を果たしたいのか?
林:最近は「どの会社でどの商品を売るかというよりも、会社でどんな役割を果たしたいのか?」という考え方をするようになったよ。
どんな商品を売っていたとしても、何年か経てば、同じ感覚になると思うんだよね。もしそうなるのであれば、それは営業に向いていないということだと思う。
ワタナベ:ちなみにどういう風に考えて、その結論になったの?
私はキャリアのこと考え始めると、最終的に外向きの思考になることが多くて。割と気軽に、会社の垣根を越えて面白そうなことに目が行ってしまう(笑)
今の場所で頑張ろうって選択をし続けている人の考え方、興味あるな。
林:例えば「あの商品いいな」「あれ売りたいな」と思って、転職をしたとするよね。最初の数ヶ月は楽しいかもしれないけど、そのうち他がよく見えるときが来ると思うんだよね。特に自分に自信がなくなったときとか。そうすると、また外に出たくなると思う。
ワタナベ:なるほどね~。確かにそういうこともありそう。
林:それに自分が今の会社にいるのは、商品を愛しているからではなくて、会社の考え方や理念、社員の人が好きだからなんだよね。だから自分はこの会社で頑張ろうと思う。
かおる:いい就職したね。
ワタナベ:事業ではなくマインドに共感しているから、今の会社の中での役割を大切にできるっていうことだね。
スーパー会社員適合者でも転職を考えた
かおる:会社の理念や社員に共感して入社を決める学生は、今もかなり多いよ。ただ、その見極めができることは、しっかり自己理解をしているからだと思うんだよね。林くんは自分のことをよく理解しているように感じる。
ワタナベ:それにかなり考え方が前向きだよね。
かおる:これまでに転職するという選択肢はなかったの?
林:あったよ。一番強く思ったのはここ1年。実は、コロナの影響で対面営業が全部なくなり、減給と自宅待機になった。
そのときには、このまま世の中が変化していく中で営業を続けてもいいのかな?と思った。その後に、会社から別の部署の仕事を紹介されて、今の総務の仕事を選んだんだよね。

林:逆に、2人は長く働こうって思わないの?
ワタナベ:もちろん思ってるんだけど。
周囲に面白そうな道が開けてるっぽいぞ? って思ったら、まあ行ってみるか! みたいな感じになっちゃうんだろうか。
かおる:飽きっぽいのかな、私たち(笑)
ワタナベ:もちろん、なんも考えてないわけじゃないけど!(笑)
多分、さっきも出てたような「仕事への不満」とか「環境への不安」みたいな誰でも思う悩みを解決するぞ!って色々試し始める時、社内だけじゃなくて、最初から社外が選択肢に入ってるのかも。
社内で頑張るのと同時並行で、他社の話も聞いてみる、とか。
それで、今のところ最終的に「転職する」って選択肢が魅力的だったことが多いのかな。
かおる:私は「社内のギスギス感」や「保守的な上司」とかに萎える(笑)
ワタナベ:社内外問わずだけど、そういうのが別の場所に目を向けるきっかけではあるんだよな~。
信頼関係を培うことで、やりたい仕事ができるようになる
林:自分から仕事を掴みにいくことの重要性を今の会社で教わったんだよね。実は、今の部署に来た当初は、全く仕事がなかった。
やりたくない仕事でも、他部署の同期にヒアリングをしたり、夢を語りあうことをしたりして、自分の味方を増やして、少しずつやりたい仕事ができるように努力はしているかな。
かおる:夢を語りあえる同期がいるなんて素敵だね!それにしても、林くん社員の鑑だね。
ワタナベ:会社にも恵まれているんだろうけど、林くん自身が前を向いているのがいい。
林:自分はギスギスするのが嫌いなんだよね。
ワタナベ:ある意味長く勤めているから、できることでもあるんだろうな。培ってきた信頼関係があるからこそだよね。

かおる:人と信頼関係を築くコミュニケーション能力があるから、マネジメントに向いていそうだよね。
林:そのうち挑戦してみたいとは思っている。
ワタナベ:サポート体質の人ってマネジメントに向いてるらしいよ。人の上に立ちたい!って人より欲がないので、周りを第一に考えて適切にモチベーションをコントロールできる。
林・かおる:なるほど〜。
社員旅行は捉え方次第で楽しめる
かおる:林くんは、メンターやリクルーターもできそう。何かやっていた?
林:メンターはやっていたよ。後輩と仲良くなった。
ワタナベ:メンターって、この人には何でも話していいという安心感をもたせることがすごく難しいと思うんだけど、仲良くなるための秘訣は何かあったの?
林:自分をさらけだしたかな。表彰された時のボーナスの話から、営業の失敗談まで話していたよ。あと、こんないいところに社員旅行で行けるよという話もしていたかな(笑)
かおる:今、さりげなく社員旅行がいいものであるかのように言ってたけど、私は社員旅行、苦手なんだよね……
ワタナベ:私も……
林:その辺の伝え方は、後輩によって合わせていたよ。話を聞いて、この人は社員旅行が苦手そうだと思ったら、自分は1人でお風呂に入ったりして満喫したよ〜という話し方をするとかね。
ワタナベ:すごい。コミュニケーション能力だ。
かおる:実際はどっち派なの?
林:お酒は飲めないけど、どっちでもいける。1人でも満喫できるし、人に溶け込むことも苦手ではない。
ワタナベ:同僚と盛り上がるの自体は楽しいけど、時間通り、指示通りの「ザ・集団行動」が……ちょっとめんどくさい。学校みたいで……
かおる:わかる!気の合う人といたいよね。会社の人が嫌いとかではなく、自分の行動が制限されるのがきつい。
ワタナベ:自分の時間の使い方は、自分で決めたい。ここにもなんとなくここまでの話の片鱗が見えるな。
林:捉え方次第で楽しめるけどね。社員旅行だと、普段話せない先輩と話すことができるし、面白い話を聞けるし。

かおる:ちゃんと社会人だ!!
ワタナベ:今日の座談会を通して、林くんがすてきな会社員だったという気づきがあった(笑)
かおる:こんなに真面目に語り合える日が来るなんて、思ってもいなかったよ・・・。
林:どんなイメージだったんだよ!(笑)
1.自分の強みを生かせる(強みを求められる)環境で働く
2.どの商品を扱っている会社なのか?ではなく、会社でどんな役割をしたいのか?の視点をもつ
3.会社の理念や考え方、一緒に働くメンバーのことを好きになる
4.夢を語り合って仲間を増やす
5.社員旅行は普段話せない人と話せるいい機会だと捉える

林くんは、言い方を選ばなければ「普通の人」という印象がありました。でも、普通に組織に馴染むことができることは、普通ではありません。スキルです。尊敬します。
しかも、林くんの素直で前向きな姿勢がかなり素敵だなと思いました。よく仕事で迷走しがちな私ですが、人と働くこともいいものなんだな、と少し視点を変えることができました。林くん、ありがとう。
今回はゆるーく語りましたが、働く上でかなり重要なエッセンスが詰まっていると思っています。私たちと同じように、組織への適合に悩んでいる人のヒントになったら嬉しいです。