皆さんは転職を考えたことはありますか?
世の中の状況も刻一刻と変わり、かつてのように一つの会社で生涯働き続けるのはなかなか難しい時代。
一度くらいの転職は一般的になってきたと思いますが、まだまだ「転職を重ねる」ことには抵抗がある方も多いと思います。
私は現在30歳で、3社を渡り歩いてきました。そして間もなく、もう一度転職をするつもりでいます。
特に直近2社はいずれも1年半程度で辞めており、転職をするか否かを決める折、それはもう迷いに迷いました。
この記事では、転職を決めるまでに聞いたお話や、感じたことを元に、実際に転職を繰り返している人間の視点で、転職がキャリアに与える影響を考えていきたいと思います。
ここでは、転職したい理由などの定性的な部分には触れません。それぞれの理由があり転職したいと思っている方に、私の体験談が少しでも役立てばと思っています。
もくじ

まず初めに「何度も転職を繰り返す」と不利になるのか?という結論の部分について。
私は、不利になる部分があると考えています。
転職回数が多いことをマイナスに受け取る会社が、世の中には間違いなく存在するからです。何らかの理由で次に転職したいと思った時に、転職歴が影響してくる可能性があります。
ただし私の場合は、それが今後の自分にとって大きなデメリットにはならないだろうと判断し、転職を決めました。
私は上述の通り、すでに2回転職しています。
最初の転職は27歳の時。新卒で長く勤めた会社を思い切って辞める決断をしました。2回目の転職は29歳の時。転職先の会社から、1年半で次の会社に移ることになりました。そして3回目は30歳。だいたい1年くらいで、再度の転職に向けて動き出しました。
この3回の転職、1回目と2回目では書類選考の通過率はさほど変わりませんでした。
どちらかというと、1社目よりも2社目の方が知名度の高い会社だったせいもあってか、1回目で落ちた会社に2回目では通過するなど、2回目の方がやや通過率が良かったように思います。
しかし、3回目では通過率が分かりやすく落ちました。社名としては、2社目よりも3社目の方が、さらに業界知名度の高い会社だったにも関わらず、です。
コロナ禍だったことや、年齢が30代に乗ったことなども多少は影響していると思いますが、おそらく一番の理由は「短期間で転職をしている」ことだろうと思います。
人事で採用の仕事をしている知人たちに「勤め先の勤続年数が短い人って、書類選考で敬遠する?」と質問してみたところ、こんな答えが返ってきました。
穏やかな社風で長く勤める方の多いA社の人事

長く勤めて欲しいから、転職回数は少ない方が安心できますね
成果主義で人の入れ替わりも激しいB社の人事
成果主義で人の入れ替わりも激しいB社の人事

何度も転職していたり、勤続年数が短くてもキャリアが伴っていれば評価します
穏やかで離職率の低い企業は勤続年数を重視する傾向があり、逆に即戦力を求める企業においては、勤続年数よりも「どこでどんなことをしてきたか」が重視されるようです。
キャリアコンサルに勤める知人に相談した時も、「転職回数が多い人を敬遠する企業もたしかにある」と言っていたので、実際に勤続年数が評価に関係する企業があるのは間違いないようです。
とはいえ、転職活動をしてみた私の体感としては、書類選考において勤続年数が短いことだけを理由に足切りをしている企業はそこまで多くないかも?と思いました。
勤続年数とそれ以外の要因が組み合わさって書類選考通過率の低下につながっているように感じたのです。

3回目の転職において、書類選考を通過できなかったパターンを分析すると「スキルマッチが半端な求人」の通過率が圧倒的に落ちています。
・業界は一緒だが、現状と職種が異なる
・職能要件と現状のスキルに若干のズレがある
といった求人についても、2回目の転職までは「ど真ん中ではないですが、これまでのこんな経験とスキルで対応できますよ」というアピールをきちんとすればある程度通過していたのですが、
3回目では、そういった求人の書類通過率が著しく下がりました。年齢も影響する部分ですが、2回目と3回目の転職時では1歳しか変わらないので、やはり勤続年数が短い分、より一層スキルを重視されるようになったと考えるべきでしょう。
逆に、職能要件がしっかり当てはまる求人については、2回目とさほど書類選考の通過率が変わらなかったように感じます。
長く勤めない可能性のある人材ほど、「伸びしろを加味して育てる」前提で採用するのは難しく、「来てすぐに活躍してもらえるか」が見られるということなのかなと思っています。

ここまで、3回目の転職時に感じたことから、「デメリット」の部分を語ってきましたが、逆に経験した社数が増えたことによって感じている「メリット」についてもお話ししておきたいと思います。
転職のメリットはとにかく「人」です。
特にコミュニケーション能力に自信がない人ほど、転職は人脈の拡大に繋がります。
私は2社目に勤めたわずか1年間で、1社目で5年間かけて開拓したのと同数程度の取引先と取引することになりました。
これは1社目と2社目の企業規模や職種の違いに依る部分もありますが、何よりも「同じ会社で勤め続けると取引先が偏りがち」なことに起因します。
放っておいても自分からあちこち出かけて人脈を広げてくるようなタイプであれば、同じ場所にいても自ら道を切り開いていくと思いますが、残念ながら私はコミュニケーション能力が高い方ではありません。
ですが仕事となれば、強制的に取引先と関わることになります。会社が変われば当然、やり取りをする相手先の傾向も変わってくるので、短い期間で多くの新規相手先と仕事をすることができます。
さらに、「同僚」という特別な関係の人が増えます。
同業種で転職する場合、「元同僚」は本当に強いパイプです。毎日一緒に働く人たちとは、他の誰よりもコミュニケーションを取ることになります。取引先とは全く違う親密度で話ができるようになるため、古巣となる企業との取引がしやすくなるのはもちろん、業界の情報などを気軽にやり取りできる相手が増えます。これは転職しなければ絶対に手に入らない関係性です。
「元同僚」たちもまた転職していくので、そこからさらに蜜にやり取りできる企業が増えていくと、どんどん業界内で仕事がしやすくなります。
そういった意味で、転職回数が多いと、人脈の面で転職経験のない方を大きくリードできます。
私は同世代と比較して短いスパンで転職しているので、「なんでそんなにあらゆる会社と取引ができるの?」と驚かれることもあります。
内向的な人間がこの評価を得られたのは、「転職」して強制的に環境を変える選択をした結果だと思います。
多くの仕事において、取引先の開拓や関係構築は重要です。それが重宝される職種においてうまくアピールすれば、勤続年数の短さをカバーして高い評価につながる可能性もあるのです。
さて、ここまで実際に転職活動して私が感じた「転職を繰り返すことのメリットとデメリット」を書いてきました。
デメリットは「今後の転職において「勤続年数」という軸の評価点が下がる」こと。
場合によるとはいえ、そういった判断基準を持つ企業があることは間違いないので、転職を繰り返すと、次に「転職したい」と思った時、難易度が上がります。
ただし、求められているスキルと自らのスキルがしっかりマッチしていれば、それほど影響がないこともあります。
メリットは「人との繋がりが増える」こと。
様々な取引先と関われるだけでなく「元同僚」という特別な関係性の仲間を増やすことができます。1社にとどまる方が数年かけて開拓するような人脈を、転職によって短い期間で得られることもあります。
以上を踏まえて私は、
・同業界内での転職
・前職までの人脈が活かせる仕事
・即戦力になれる
の条件が揃っていれば、もう何回か転職を重ねたとしても、デメリットよりメリットを享受できるのではないかと判断しました。そして、3回目の転職となる今回は、無事に良い形で転職先を決めることができました。
逆に、別業界に転職しようとしている方や、あまり前職での人間関係を活用できない場合においては、デメリットを強く感じる可能性もあるかと思います。
今後のキャリアもよく考えた上で、転職を決めていきたいですね。
さて、経験者が語る転職の話、いかがでしたでしょうか。
少しでもキャリアに悩む方の力になれば幸いです。
コロナ禍で、転職事情や働き方も刻一刻と変わる中、健やかに働ける環境を見つけるのは大変なことですが、皆さんの人生が豊かになる決断ができるように応援しております!