30歳OLが絵本「きょうはなんのひ?」を読み返したら、自分の大切な価値観に気づいた

「きょうはなんのひ?」小学生のまみこが両親に用意したサプライズが描かれた温かいストーリーの絵本。絵は「こんとあき」などで有名な林明子さんが描かれています。優しくてあたたかいタッチの絵が物語の雰囲気にマッチしており、読後は非常にほっこりした気持ちになります。私は小さい頃、この絵本が大好きでした。

あらす

朝、学校に行くまみこはおかあさんに、「きょうはなんのひだか、しってるの?……しらなきゃかいだん三だんめ」と謎のことばを残して玄関をでていきました。おかあさんが階段を見ると、そこには赤いひもで結ばれた手紙がありました。手紙には「ケーキのはこをごらんなさい」と書いてありました。箱の中にはまた手紙……。次々と手紙を見つけていったお母さんが最後に見つけたものは?親と子の間に流れる温かい心づかいを描いています。

引用:福音館書店HP

絵本「きょうはなんのひ?」が大好きだったわけ

家族を喜ばせることが好きだったため、感情移入した

小さい頃は家族限定のサプライズや企画が大好きでした。というのも当時は過度な人見知りだった(今でもデフォルトは人見知り)ため、絶対に喜んでくれると確信できる家族に対してしか、自分の発想を伝えるという行動ができなかったのです。

そんな私は、家族の誕生日・父の日・母の日・クリスマスでは、何かしらのプレゼント(お金がなかったので肩たたき券とか)を用意したり、部屋の飾り付けをしたりしていました。そんな家庭で育ったからこそ「きょうはなんのひ?」という両親の結婚記念日を子どもが祝うというテーマに感情移入したように思います。

まみこの遊び心にワクワクさせられ、私も実際に同じような謎解きをつくりましたが、まみこほどクリエイティブなものが作れず、少し落ち込んだ記憶があります(笑)


絵本のイラストが圧倒的にきれい!

とにかく絵が素敵です。林明子さんの繊細で暖かいタッチは、何歳になっても癒されます。大人になった今は心が洗われます。(子どもの頃は心が洗われる感覚はありませんでしたが・・・)

途中でお母さんとお父さんが黒電話で電話する部分には時代を感じますが、全体的に家族の温かさを感じます。個人的に一番好きなのが、まみこがサプライズでお父さんが連れてきた子犬を見たときの顔。子犬を抱きしめているときの顔はたまらなく可愛いです。いつか林明子さんの絵をひたすら愛でるだけの記事を書きたいですね。

作者の瀬田貞二さんは本の訳者で有名!

作者の瀬田貞二さんは絵本・児童書の翻訳でかなり有名です。世代をこえて有名な本の翻訳を多くされています。

絵本だと、
「三びきのやぎのがらがらどん」
「ブレーメンの音楽隊」
「三匹のこぶた」
など

児童書だと、
「指輪物語」
「ナルニア国物語」
「ホビットの冒険」
など

どれも聞いたことがある作品ではないでしょうか?

海外の名作を代々読み継ぐことができたのも瀬田さんのおかげだと考えるととても感慨深いですね。

「きょうはなんのひ?」は瀬田さんの晩年に発行されています。海外の文化にたくさん触れてきた瀬田さんだからこそ感じる家族のぬくもり日本のよさというのを、晩年に思い返しながら描いた作品なのでしょうか

ほのぼのとして心温まる作品ですが、こういった著者の背景を知ったうえで読むと、また違う味わい深さがあります。ドラマティックで波乱万丈な人生もいいかもしれませんが、幸せというのは、このような身近なところ、ささいな日常の中にあるのかなとしみじみ感じました。

豆知識ですが、途中で登場する「マドレーヌといぬ」という絵本は、作者の瀬田貞二さんが訳書された本です。こんなところにも遊び心が隠されています。

大人目線でみた絵本「きょうはなんのひ?」

子ども目線から母親目線へ

「きょうはなんのひ?」は、子どもの頃はただただワクワクして読んでいた絵本です。当時はイラストの可愛さや遊び心溢れるストーリーに心を奪われていました。ですが、30代になった今は違う発見があります。

そもそも、昔はまみこの目線で読んでいましたが、今は謎解きをするお母さん目線でも読める年齢になりました。そこで、幼い私にこの本を読み聞かせてくれていた母に、当時の心境を聞いてみました。

「家族のイベントを大切にしてきたつもり。ずっとこれが続けばいいなと思いながら読んでいた。」とのこと。やはり母親目線で読み聞かせてくれていたようです。少し恥ずかしいですが、ありがたいですね。


好きだった絵本は自己理解のカギになるかも

人事っぽくなってしまいますが、「人を喜ばせる」「サプライズ」が好きな性分の原点は、ここにあるように感じます。今でもプチサプライズを考えることが好きです。そして相変わらず家族への思い入れが一番強いように思います。私の大切にしている価値観はここに凝縮されています。

人それぞれ、子どもの頃に大好きだった絵本というのは、人格形成に影響を与えているのではないでしょうか。それが好きなこと譲れない価値観に繋がっていませんか?

「なぜそれが好きだったのか?」

「今どう思うのか?」

これを考えるだけでも「自己理解」や「自己分析」のヒントになるような気がします。自分探しの迷子になっている方は、子どもの頃に好きだった絵本を思い出してみるのもいいかもしれません。

あなたのお気に入りの絵本は何でしたか?

出典:「きょうはなんのひ?」 瀬田貞二 作 林明子 絵(福音館書店)